水流中の混合粒径土砂の移動機構
洪水時の川の中では、水の力によって河床の土砂が移動します。この土砂移動で川の形が変化するため、河道管理のためには、河床の土砂移動を推定することがとても重要です。水流中の土砂移動を正しく推定するためには、土砂移動の様子、土砂に作用する水の力や、土砂どうしが及ぼしあう力を知り、その推定技術を導く必要があります。しかし激しい水流中で土砂の移動や力を計測することは困難であり、このことが洪水中の土砂の移動機構の理解の大きな妨げとなっています。特に、河川中上流域で見られる石礫河川では,河床材料は、数10㎝の大きな石から小さな砂まで存在します。このような粒度分布の広い石礫河川では、大きな石と小さな石で運動の様子が大きく異なるため土砂移動は複雑となり、その推定が難しくなります。
これらの石礫河川の土砂移動推定に対する課題に対し、私たちは、様々な形の石礫の運動とその周りの水流の運動を良く説明することができる数値解析プログラムを開発しました。これにより数値シミュレーションを使って水流と土砂の相互作用を調べています。洪水中の土砂移動機構を調べるこの新しい研究手段によって、より精度の高い石礫河川の土砂移動の推定技術の開発に取り組んでいます。
Advances in Water Resources Vol. 72, October 2014, Pages 84-96